Hierapolis
朝食を食べていると宿の主人が、息子の車でヒエラポリスまで送ってくれると言ってくれた。乗り合いバスがヒエラポリスの入り口まで出ていると聞いていたが、出る時間も決まっているため、食後にノータイムで乗れる息子氏の車にありがたく乗せていただいた。

15分ほど乗ってヒエラポリスの入り口に着いた。車はここまでとのことで、WhatsAppアドレスを交換して下車した。何かあったら連絡してくれと言っていた気がする。車止めのゲートとスタッフが居そうな小屋があったので、中に声をかけてみる。ヒエラポリス?、英語が話せないようだったがそうだと頷く。よし行こうか。
駐車場を抜けてチケットセンターの建物へ。まだ早い時間なのか、人はまばらで土産店ものんびりと準備しながら挨拶をしてくる。「Merhaba, Teşekkür ederim」こんにちは、ありがとう、これくらいしかトルコ語は分からないが会うたびに言ってみる。
ゲートを抜けて進んでいく。最初は墓地Necropolisに足を踏み入れる。
ヒエラポリス・パムッカレ複合遺産は入り口がいくつかあり、僕たちが入ったのは北ゲートというところでした。デニズリやパムッカレ村方面から来ると南ゲートからになり、先にパムッカレの石灰棚を見るルートになります。
ゲートで購入したチケットは700TLでした。(2024年4月現在)円安とトルコのインフレで年々割高になっているそうです。



徐々に日が昇っていくため、墓地の雰囲気は明るい。ヒエラポリスはアレクサンドロス大王死後のギリシア系後継国家の一つ、ペルガモン王国によって建設されその後ローマの都市となった場所。ギリシャとローマの風をいっぺんに味わいながら道をどんどん歩いていく。
しばらくすると町の入り口フロンティヌス門に着いた。ヒエラポリスは最終的には度重なる地震で荒廃し打ち捨てられたというが、それにも負けず今も堂々としたアーチを残す。ひとしきりポーズを決めてお互いに記念撮影をした。他に歩く人がほとんど居なく、ほぼ独占状態。


遺跡は綺麗に整備されているが、石畳のない場所は草が生い茂っている。グーグルマップを頼りにパムッカレまでの道を(道なき道もある)歩いていく。草に時折見え隠れする石を跳んで遊ぶ。童心に帰っていると目の前が突然開けた。
パムッカレの石灰棚が姿を現した。
綿の宮殿


石灰棚の上を歩けるエリアに来ると、人がたくさん居た。ぜんぜん見ないと思ったらみんなここにいたようだ。よく見る夕日に映えるような景色ではないけれど十分に綺麗に思う。何より今までの人生で見た事もない景色に胸が躍る。
パムッカレは近年の観光客増加や温泉の湯量減少などの問題があり、歩くには靴を脱がなければならず、定期的な注水が行われているそう。ネットでは残念スポットなどと揶揄されることが多いが、場所を選べば映え写真はいくらでも撮れるし、進入禁止のエリアは素晴らしい景観が保たれている。

ここの水は冷たく、暖かくなり始めのこの時期には少し合わない。僕たちは沈んだ遺跡の上にある温水プールCleopatra Antique Poolsに向かった。ここはあの絶世の美女クレオパトラが入ったともいわれている。
すごく混むかと思ったが案外ここも空いていてのんびりしている。水着に着替えて水に向かう、初の海外で露天温泉(プールなのか温泉なのか?)


入ってみると体温よりちょっと低いくらいの暖かさ。遺跡の上にあるは比喩ではなく、本当に水中に彫刻の掘られた柱などが沈んでおり、腰かけて休んだりできる。この上ない贅沢なプールでなぜか僕はFに泳ぎの特訓を受けていた
これから海外でプールや海に入る機会も多いと思い、カナヅチをどうにかしたいと思った。「腕と脚の連動だよ」などと叱咤激励を受け1時間は入っていた。何をやっているんだか…
再びヒエラポリスへ
水から上がり今度は丘を登ってヒエラポリス名物、古代劇場に向かう。
古代ローマでおなじみの円形劇場、その変遷の歴史や現代に残る劇場について詳細に解説してくれています。たびたび僕の記事でも紹介させていただいてますが、このサイトはトルコ旅行の情報が満載なので、行かれるかたは是非見てみてください。

僕は風を感じる開けた場所が好きだ。日本にいても小高い丘の上から街を眺めたり、海沿いに座ってボケっとする。この古代劇場でも例外ではなく、腰かけてしばしのんびりする。Fは動きたくて仕方無かっただろうが、ちょっとこればかりは譲れない醍醐味なのだ。
古代劇場から丘の上にも道は通じており、遺跡が続いているようなので見に行く事にした。途中ゲド戦記の’’テルーの歌’’(二人とも結構好きで雰囲気に合うのでチョイス)なんかを流しながら遺跡を写真に収めていく。

石の建造物が見えなくなってきたところで、またグーグルマップを確認すると、北ゲートまでの道が続いていそうだったので歩くことに。行きに歩いた草原の比ではないくらいの獣道や途中マップの道から外れたりしながら、ようやくネクロポリスまでたどり着いた。
ワクワクしない!?こんなの俺ら以外にやってないよ
名言マシーンF、確かにその通りだ。僕がこの生活を1年やっているのは見た事のない景色を減らしたいと思ったから。ヒエラポリスやパムッカレは日本だけでなく、世界各国から沢山の人が訪れる場所で、同じ景色をみんな見ている(どういう風にとらえるかは人それぞれだと思うが)
だから、他の誰もやっていなさそうな事をするとテンションがものすごく上がる。街を建てた古代の人々も今遺産を維持している人々もこんな楽しみ方をされるとは想像していないだろう。
今日は一つ境界を越えた気がした。
スパと夕食
北ゲートから出て、僕たちはカラハユットまでの乗り合いバスを待つことにした。地球の歩き方にはだいたい20分ぐらいの間隔でカラハユットまでのバスが止まると書いてあった。どこに止まるかもわからないので見通しの良いところに腰かけてそれらしいバンを待つ。あらっ、今一台通り過ぎたのがそれじゃないかな?痛恨の見逃し。まあ、そういうこともあると、気長に待つ。今度はちゃんと乗車できた。
移動手段の確保は海外旅行では大事、市街地ならともかく郊外で言葉もわからない所では途方に暮れることも良くある。無事に乗れたのもあってか、こういう不便も海外旅行をしないと分からなかったなあ、などと呑気に考えていた。
宿に戻り地下にあるというスパに向かう。なんか想像していた見た目と違って銭湯みたいだし、蒸し風呂かのように暑い。お湯は昨日と同じでややぬるめで赤みがかっている。熱い温泉をありがたがる習慣は無いのかもしれない。
ビーチチェアに寝そべったり、湯につかったりと本日2度目の温泉を二人で満喫した。何せここも貸し切りかのように他の客はいない。

綺麗に整った後は夕食に出かける。例のごとく小さな町なのでロータリーまで歩いてレストランを探す。んー、昨日のところにしようか。僕らは昨日のお店のおっちゃんが気さくだったのを思い出して二夜連続でそこに入ることにした。
こちらがそのお店、一番明るくて賑やかそうな店を選んでみました。日本も外国も繁盛しているかどうかは入るときに大事ですね。

トルコ料理では随一のお気に入り

今回チョイスしたのはイスケンデルケバブと牛モツスープのチョルバ、そしてFの大好物メネメン(好きかよ)。もちろんビール、今回はEFESでもPILSENと書かれたちょっと高級そうなやつとおなじみ、水と混ぜると白濁するトルコの国民的アルコールラク(’’ライオンのミルク’’という異名もある)
またもやこちらおなじみのサイト、ターキッシュエア&トラベル、本当に良くまとまっていて読んでいて面白いです。
同様の見た目と名前を持つ料理は中央アジアから東欧まで幅広く分布しています。
トルコではこの二日酔いに効くなどどいわれ、このニンニク風味たっぷりのスープは愛飲されています。
イスケンデルケバブは適当な記事が見つかりませんでした。薄焼きパンのピデの上にドネルケバブを乗せ、トマトソースとヨーグルトをかけた料理です。ヨーグルトの酸味が複雑で濃厚な味を引き立てます。
かのアレクサンドロス大王がお気に入りだったとも言われ、アレクサンドロスのトルコ風名イスケンデルを冠している。
雄大な景色と歴史のロマンが融合するヒエラポリス・パムッカレ遺跡を見た満足感からあっという間に食べ進めた。
途中おっちゃんがやってきて「good?」と聞くので僕らは「çok güzel!, çok iyi!」と答える。とても美味しい!、とても良い!
おっちゃんにっこり、外国人が自分の国の言葉を使ってくれるのってなんだか嬉しいよな。
皆笑顔で店を後にした。もう明日は早起きして出発、いよいよカッパドキア、気球はもうすぐ目の前だ…

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